美容室の顧客カルテを電子化する手順|紙カルテからの移行と、予約・レジどちらに置くか
美容室・サロンの紙カルテを電子カルテに移す手順を解説します。カルテを予約システムとPOSレジのどちらに置くか、移行する項目の絞り方、顧客情報を扱うときに守るべきことも整理します。
紙の顧客カルテは、書くのは簡単でも探すのと共有するのが難しい道具です。お客様が来店してから棚を探す、担当以外のスタッフが前回の薬剤を確認できない、予約の電話で過去の施術がすぐに分からない。電子カルテに移す目的は、この「探す」「共有する」を速くすることにあります。
この記事では、電子カルテをどのシステムに置くかの決め方、紙カルテから移すときの手順、顧客情報を扱ううえで守るべきことを整理します。
電子化で変わること
| 場面 | 紙カルテ | 電子カルテ |
|---|---|---|
| 来店時の確認 | 棚から探して取り出す | 予約を開けば前回の施術と写真が見られる |
| スタッフ間の共有 | 1冊を回し読みする | 誰でも同時に見られる |
| 予約の電話 | 折り返して確認することがある | その場で過去の施術を確認できる |
| 薬剤・注意事項 | 前のページをめくって確認する | 注意事項を目立つ位置に固定できる |
| 紛失・劣化 | 汚れや紛失のリスクがある | バックアップが取れる(クラウドの場合) |
| 分析 | 手で集計する | 来店間隔や失客を一覧で確認できる |
一方で、施術中に手が離せない、タブレットの操作が苦手なスタッフがいる、といった理由で入力が止まると、電子カルテは空のままになります。入力の手間が紙より増えないことを、製品選びの条件にしてください。
カルテをどこに置くか:予約システムか、POSレジか、一体型か
電子カルテは、予約システムにもPOSレジにも搭載されていることがあります。両方に機能があると、どちらに記録するかが曖昧になり、情報が2か所に分かれてしまいます。カルテの置き場所は1つに決めるのが原則です。
| 置き場所 | 向いている店 | 注意点 |
|---|---|---|
| 予約システム | 予約の確認やリマインドのときにカルテを見たい店。予約の入口が多い店 | 会計の情報(店販の購入履歴など)とは別になりやすい |
| POSレジ | 会計や店販の履歴と合わせて見たい店。スタッフ別の売上を管理したい店 | 予約システムと連携しないと、予約の時点ではカルテが見られない |
| 予約・レジ一体型 | これから開業する店。予約とレジを別々に管理して二重入力になっている店 | 1社にまとめる分、一部の機能だけを他社製品に替えにくい |
比較表で、顧客管理・カルテの対応状況を見ると次のとおりです。
| 製品 | 顧客管理・カルテ | 予約システム連携 | 美容サロン特化 | 月額費用 |
|---|---|---|---|---|
| Airレジ | 対応 | 記載なし | 非対応 | 0円 |
| STORES レジ | 記載なし | 対応 | 非対応 | 0円 |
| Square POSレジ | 対応 | 記載なし | 非対応 | 0円 |
| Bionly | 対応 | 対応 | 対応 | 要問い合わせ |
| POS+ beauty | 対応 | 対応 | 対応 | 要問い合わせ |
| 製品 | 顧客管理・カルテ | サロン専用アプリ | 事前決済 | 月額費用 |
|---|---|---|---|---|
| Airリザーブ | 対応 | 記載なし | 対応 | 0円 |
| STORES 予約 | 対応 | 記載なし | 対応 | 0円 |
| ビューティーメリット | 対応 | 対応 | 記載なし | 要問い合わせ |
| Bionly | 対応 | 対応 | 記載なし | 要問い合わせ |
| POS+ beauty | 対応 | 記載なし | 記載なし | 要問い合わせ |
| リザービア | 記載なし | 記載なし | 対応 | 要問い合わせ |
| Square 予約 | 対応 | 記載なし | 対応 | 要問い合わせ |
予約とカルテとレジを1つにまとめた製品と、予約システムとPOSレジを別の会社で組み合わせる方法のどちらがよいかは、いま使っているシステムと、今後変えたい部分によって決まります。
紙カルテから電子カルテに移す手順
1. 移す項目を絞る
紙カルテの内容をすべて書き写そうとすると、作業が終わりません。まず、来店時に本当に見ている項目だけに絞ります。
- 氏名・連絡先
- 最終来店日と来店の頻度
- 直近数回の施術内容(メニュー、薬剤、担当者)
- アレルギーや肌の状態など、施術の注意事項
- 仕上がりの写真(直近のもの)
2. 移すお客様を絞る
全員分を一度に移す必要はありません。直近1年以内に来店したお客様から移し、それ以前のお客様は、来店されたときに移すという方法が現実的です。
3. 来店時に移す運用を決める
予約が入ったお客様の紙カルテを前日に取り出しておき、来店時に電子カルテへ入力する「来店時移行」を基本にすると、通常の業務の中で少しずつ移せます。誰が、いつ入力するかを決めておくと、移行が途中で止まりません。
4. 紙カルテの保管と廃棄のルールを決める
電子化が終わった紙カルテをどうするか(一定期間保管するか、廃棄するか)を決めます。廃棄する場合は、シュレッダーにかけるなど、第三者に読まれない方法で処分してください。
顧客情報を扱ううえで守ること
カルテに記録する氏名・連絡先・施術内容・写真は、個人情報保護法の「個人情報」にあたります。店の規模にかかわらず、事業として顧客情報を扱う以上、同法の義務がかかります。主な点は次のとおりです。
- 利用目的を決めて伝える:「施術の記録と、次回以降のご提案のため」など、何に使うかを決め、店内の掲示や予約画面などで伝える
- 安全に管理する:スタッフごとにログインを分ける、退職者のアカウントを止める、タブレットに画面ロックをかける
- スタッフに守らせる:カルテの情報を私的に使わない、店の外に持ち出さないといったルールを決め、周知する
- 委託先を確認する:クラウドのシステムを使う場合、提供会社のセキュリティ対策やデータの保存場所を資料で確認する
健康状態に関わる情報(皮膚の疾患や病歴など)は、内容によって「要配慮個人情報」にあたり、取得の際に本人の同意が必要になる場合があります。問診票や同意書の運用とあわせて、個人情報保護委員会のガイドラインを確認してください。
施術前の同意書を電子化できるPOSレジもあります。まつげ・脱毛・エステなど、同意書の取得が多いメニューを扱う店では、同意書をどう保管するかもあわせて検討すると、紙の管理をまとめて減らせます。
よくある質問
電子カルテの写真はどのくらい保存できますか
保存できる容量や枚数は製品やプランによって異なります。仕上がりの写真を多く残す店は、資料で上限と超えた場合の扱いを確認してください。
タブレットが苦手なスタッフがいても使えますか
入力の手間を減らす工夫(よく使う施術内容を選択式にする、写真だけ撮って後で整理する、など)ができる製品かどうかが重要です。資料請求や体験で、実際の入力画面を見て判断してください。
予約システムを乗り換えると、カルテはどうなりますか
カルテを予約システムに置いている場合、乗り換えのときにデータを移せるかが問題になります。移行の考え方は「予約システムの乗り換え手順」で解説しています。
参考にした資料
制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、提出先や各社の最新の案内をご確認ください。
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